2015年5月29日金曜日

『ゴーストハント5 鮮血の迷宮』(小野不由美)読みました。

公定歩合とは、日本銀行が民間の
銀行に対してお金を貸し出すとき
の金利である。通常、民間の銀行
が企業や個人などへ融資するとき
の金利も、この公定歩合の変動に
応じて変化する。

……ってな感じの原稿を、
ぼくは仕事でつくっています。

この場でさらけ出している
おちゃらけ文章とは、まるっきりちゃう。

そりゃここで書いているもののほうが、
ぼくの本性には近い気がします。

でも、仕事の原稿が、
まるっきりぼくとは別人格とは思えません。

本人比率がどれほど含まれているか
というパーセンテージの
問題かもしれませんが、どっちもぼく。

んで、
ぼくの知る限りライターとか
作家とかと呼ばれている
(もしくは自称している)人は、
そういう文章の書き分けが、
それなりにできるようです。

書き分けなきゃいけないことを
好きか嫌いかは別にして。
どの文体が得意なのかどうかも別にして。

で、この『ゴーストハント5 鮮血の迷宮』。

ぼくの大好きな
小野不由美さんの『十二国記』は、
どちらかというと冒頭にあげた公定歩合の文体。

で、この作品は、
ぼくがいつも例示している、おちゃらけ文体
(どちらかというとですよ、あくまでも)。

小野さんはたぶん、
公定歩合文体が得意なんだろうな。


ゴーストハント5 鮮血の迷宮 (幽BOOKS)
小野不由美
メディアファクトリー
売り上げランキング: 10,179


**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年5月27日水曜日

『ぼくらの近代建築デラックス!』(万城目学/門井慶喜)読みました。

3年ほど前から、
年に1度の同窓会に出ています。

50人くらいは集まるんですが、
最初、約30年ぶりに顔を合わせたやつらは、
昔の面影はかけらほどしかなく、
誰が誰だかわかりませんでした。

それでもすぐに
打ち解けてバカ話できちゃうのが、
同窓生ってもんです。

若い頃の気分に戻って、
すっかりべろべろに酔っ払って、
「それじゃ、また来年ね」
と言って解散。

で、次の年の同窓会。
記憶力にからっきし自信がないぼくは、
きっとまた、
最初は誰が誰だかわからん状態なんだろうなと
覚悟しています。

でも、ひょっとして、やつらもぼくのこと、
誰だか覚えてないんじゃないかと思ったんです。

だって年1回だし。
この前は30年ぶりだし。

そこで、
前回の同窓会の写真を引っ張り出しました。
自分の格好を確認し、前に着ていったのと
同じ服装で行こうと思ったんです。

そうすれば、
やつらの記憶を少しでも喚起できて、
ぼくも思い出しやすくなるだとろうと。

ところがどっこい、
顔を覚えていないのに、
服装まで覚えているやつなんか一人もおらず、
やっぱ最初のときと同じ状態でした。

でもまあ、
すぐに慣れちゃうんですけどね。

で、この『ぼくらの近代建築デラックス』。

本の中に、東京の近代建築を紹介する
著者の万城目さんの写真が掲載されていました。

その万城目さんが着ている服が!

なんと、ぼくが2年連続で
同窓会に着ていった服と同じものでした!
……だから? いや、それだけです。


ぼくらの近代建築デラックス! (文春文庫)
万城目 学 門井 慶喜
文藝春秋 (2015-05-08)
売り上げランキング: 10,666



**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年5月25日月曜日

『斬ばらりん3 薩摩炎上編』(司城志朗/川島透)読みました。

前にも何度か言っていますが、
ぼくはたいてい3冊の本を
同時並行的に読むという、
なんとも本に失礼な読書方法で、
活字中毒的なかわきを癒やしています。

・会社の昼休み
・帰宅時のバスの中
・就寝前

それぞれの場所に
(バスのときはカバンの中)
異なる本を用意しておいて、
ニヤニヤしながらおもむろに取り出し、
ごりごりと文字を目で追い始めます。

これも前に言ったかもしれませんが、
この3つの垣根を
越えちゃうときがあるんです。

それは、
1つの本がとんでもなく面白かったとき。

昼休みに読んでいたものが、
面白すぎて辛抱たまらず、
バスで読むはずの本や
寝床で楽しむ小説を押しのけ、
ずっと読み続けちゃう。
まあ、いわいる一気読みですね。

んで最近、
久々に一気読み本に行き当たったんです。

それが、
前回ここに書いた『ビッグデータ・コネクト』。
ホントに面白かった。
山田風太郎作品以来の5つ星でした。

で、この『ざんばらりん3 薩摩炎上編』。

はい。これも面白かったです。

面白かったんですけど、
実はこれ、バス中に読んでいた作品で、
昼休み読みの『ビッグデータ・コネクト』に
読書時間を押しのけられちゃった。

おかしいな、面白かったのになぁ。


斬ばらりん3 薩摩炎上編 (小学館文庫)
司城 志朗 川島 透
小学館 (2015-04-07)
売り上げランキング: 317,787



**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年5月21日木曜日

『ビッグデータ・コネクト』(藤井太洋)読みました。

手紙やメールを書くとき、
「こう書いたら、なんて思うだろう?」とか
「たぶんこう受け取るだろうから、
 その受けに対して、
 答えを先に知らせちゃおう」とか、
考えながら言葉を連ねます。

基本、ぼくはビビリなので、
叱られないように、怒らせないように、
相手の顔色をうかがいながら
(あっ、目の前にはいないから、
 顔色を想像しながらか)
お知らせの文章なんかをつくっていくんです。

物語の本を読んでいると、
ぼくと同じような著者の思惑が、
ちらほらと見え隠れするときがあります。

「このセリフを言わせたら、みんな泣くぞ」とか
「こう書けば、読者はきっと
 こいつが犯人だと勘違いするぞ」とか。

そんな思惑に気づいちゃうと、
読み進めていても、
どこか興ざめな感じになってくる。

ところがどっこい、
その興ざめ感も計算して、
さらにその裏をついてくる作品もある。

あの時のあざとい泣きセリフは、
そのあざとさが後半の伏線になってたり、

何となく犯人をわからせといて、
その上で、
なんちゃってな仕掛けをつくっていたり。

そんな作品に出会うと、
思わず「参った!」とうなっちゃいます。
(関係無いけど、
 ぼくのメールにうなる人はいないだろうな)

で、この『ビッグデータ・コネクト』。

うなりました。参った!



ビッグデータ・コネクト (文春文庫)
藤井 太洋
文藝春秋 (2015-04-10)
売り上げランキング: 17,096



**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年5月19日火曜日

『ゴーストハント4 死霊遊戯』(小野不由美)読みました。

歴史に名を残すような偉大な仕事は、
若いうちじゃないとできない
と思われているふしがあるけど、
そんなことはないよ
……ってなことが、
新聞のコラムに書いてありました。

確かにアインシュタインさんは
20代で相対性理論を発表したし、

あちこちの偉い人に影響与えまくりの
ランボーさんの詩は10代で書いた。
(ちなみにぼくは影響受けてません。
 というか、若い頃読んだ気がするけど、
 まったく覚えてないし)

けれど、
年を重ねてから(重ねたから)立派な業績を
残せた人は、ぜんぜんいる。

(新聞では、
 DNAの研究をしたエイブリーさん〈60代〉、
 最晩年の作品が代表作で最高傑作という画家の
 モンドリアンさん〈70代〉なんかを挙げてました)

そうなんですよね。
最初から何かを持っていて、
それをちらっと見せただけで、
みんながびっくり仰天する人もいる。

そうかと思えば、
出発地点の手持ちはそれほどないけど、
こつこつ積み上げて、
前人未踏的なお山に積み上げちゃう人もいる。

つまりは、年齢とかには関係なく、
人それぞれってことですかね。

で、この『ゴーストハント4 死霊遊戯』。

最近の小野不由美さんの作品が好きで、
昔書かれたこの本を読んで、
「ああ、小野さんって、
 だんだんと積み上げ型の人なんだなぁ」
と感じました。

続編(ゴーストハント5)の
積み上げ具合も確認しよっと。


ゴーストハント4 死霊遊戯 (幽BOOKS)
小野 不由美
メディアファクトリー
売り上げランキング: 53,761



**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年5月15日金曜日

『甲賀忍法帖』(山田風太郎)読みました。

辞書に載ってるんですね
「マイブーム」って言葉。

それによると、
「世間の流行とは無関係な、
 自分だけの流行。現在の個人的な好み」

ちょい古くなった単なる流行語と
思ってたのに、
市民権を得ている立派な日本語でした。

「ほうほう、それはそれは」と思って、
ネットでも調べてみたら、
やっぱ1997年の流行語大賞に入って、
それから使われ出したらしい。

イラストとか漫画とかを描いている
みうらじゅんさんって方が言い出した
「マイ」と「ブーム」を
くっつけた造語なんだとか。

ネットには
「世の中の流行に流されずに、
 自分だけの流行を持とう」
という生き方のキャッチフレーズ
って書いてありました。

とはいえ、
世間の流行には、とんとうといぼくは、
今何がたくさんの人を
夢中にさせているのか知らず、
社会のブームと自分のブームが
違うのか同じなのかも、
よくは判断できないんですけどね。

だからこれは、
たぶんの予測なんですが、
今、山田風太郎ブームが起きていないでしょう。
もう10年以上も前に亡くなった方ですし。

で、この『甲賀忍法帖』。

マイブームです。面白い!


甲賀忍法帖  山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)
山田 風太郎
角川書店(角川グループパブリッシング) (2010-07-24)
売り上げランキング: 99,824



**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年5月13日水曜日

『ゴーストハント3 乙女ノ祈リ』(小野不由美)読みました。

話題になっているからと、
いわゆる流行作家のベストセラーを読んでみて、
「わっ、これ違う!!」
と思うことは、ままあります。

なんだか言葉の選び方が
しっくりこなかったり、
あざとく感じちゃったり。

その1冊を通して、
全体的に違和感を感じるようだと、
同じ作家さんの本はどの作品を読んでも、
たいてい「なんか違うなぁ」って思う。

例えば、
人気のあの作家さんとか、その作家さんとか。

それでも、超ベストセラー!
みたいにいわれると、
「ひょっとしたら今度は違うかも」
なんて魔が差して、
また同じ失敗を繰り返す。

そう、
あの作家さんとか、その作家さんとか。

みんながいいといっているのだから、
面白い部分があるのは確かなんですよね。
でも、ぼくには違和感なんだなぁ。
なぜか。

で、この『ゴーストハント3 乙女ノ祈リ』。

どうしよう!
読み始めてしばらくしたら
「わっ、これ違う」だったんです。
あの作家さんとかその作家さんとかと
同じ感じだぁ〜。ダメじゃん。

……でもでも!
後半で盛り返してくれました。
一冊通しての継続違和感じゃなかったから大丈夫。
シリーズ本はまだ出ているみたいなので、
次、いっちゃいます。


ゴーストハント3 乙女ノ祈リ (幽BOOKS)
小野 不由美
メディアファクトリー
売り上げランキング: 61,725



**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年5月11日月曜日

『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?』(岩瀬昇)読みました。

ちょっと前に読んだ
『職業としての「編集者」』
という本に載っていたことです。

この本を書いた片山一行さんって方は、
長年ビジネス書の編集をしてきて、
本をつくるときには、
著者先生からもらった原稿を、
一般読者向けに
わかりやすく書き直していたそうです。

(まぁ、ぼくも同じことをしているんですが)

それもそのはず、
著者になってくれる先生方は、
法律なり税法なり経済理論なり
の専門家であっても、
わかりやすい本をつくる
(わかりやすい文章を書く)
プロじゃない。

だからってわけではないのですが、
そういう先生方の文章は、
往往にして、難解なんです。

小説を書く作家先生ならば、
もらった原稿を編集者が書き直す
なんてことはないんでしょう。

でも、
一般のビジネス書や実用書なんだから、
重視するのは、わかりやすさであり、
文学のように行間を読ませることじゃない。

一般常識を飛び越えた専門用語が出てくれば、
簡単な言葉に置き換えたり、
たとえや例示を入れたりする。

そんな作業を
ビジネス書とか実用書とかいわれる分野の
編集者はたいていやっているようです。

で、この『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?』。

ぼくの勝手な想像なんですが、
この本、担当の編集の人は、
きっと著者の原稿に、
それほど手を入れなかった気がします。
いやいや、さぼったという意味じゃありません。
きっと、手を入れる必要がないほど、
最初からわかりやい文章だったんじゃないかな。


石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか? エネルギー情報学入門 (文春新書)
岩瀬 昇
文藝春秋
売り上げランキング: 39,215



**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年5月8日金曜日

『鬼談』(京極夏彦)読みました。

牛丼とかカレーライスとかは、
1回の食事で同じ味を
ずっとあじわうことになります。
紅ショウガや福神漬けを
途中で挟まなければね。

ここではこれらを
「牛丼類」と総称することにします。

それとは違って、
幕の内弁当なんかは、
ちっちゃな俵形のご飯に、
焼き魚、卵焼き、かまぼこ、しいたけの煮物、
ウィンナーなんかが入っていて、
1回の食事でいろんな味を感じることになる。

たくさんの魚介類がのってる
海鮮丼なんかも同じですね。

ここではこれらを
「幕の内類」と呼ぶことにします。

無理矢理ですが、
この1つ味の「牛丼類」と
多種味の「幕の内類」を、
こじつけて小説に当てはめると、

長編小説が「牛丼類」、
短編集は「幕の内類」
になります。

その味が好きなら
「牛丼類」はとっても嬉しい。

けど、嫌いだと全否定になっちゃいます。

それに対し、
「幕の内類」だと、
いくつか嫌いな味があっても(しいたけの煮物とか)
ほかが好みの味なら、
なんとかおいしく食べられます。

で、この『鬼談』。

幕の内類でした。
舌がとろけるほど極上の品も入っていたのですが、
そうじゃないのもあり、
それでも、なんとかおいしく食べられました。


鬼談 (幽BOOKS)
鬼談 (幽BOOKS)
posted with amazlet at 15.05.08
京極 夏彦
KADOKAWA/角川書店 (2015-04-04)
売り上げランキング: 6,602



**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************