2017年9月14日木曜日

『ロボット・イン・ザ・ガーデン』(デボラ・インストール)読みました。


少し前に読んだ
『書く人はここで躓く』(宮原昭夫)の中に、
こんな作者のミスが例示されていました。

小説講座みたいなところの受講生の作品で、
普段は我が子の言うことなど
何も聞かない傲慢ママが登場するお話です。

ストーリーの途中で何か危険なことが起きて、
傲慢ママは子どもを連れてその場を離れ、
助けを呼びに行こうとする。

でもそのとき、
子どもが「疲れたからここに残る」と
わがままを言い出します。

傲慢ママは、仕方なく
子を残して一人で助けを呼びに行く。

したらそのあと、
残された子どもが、さらわれるか何かして、
物語はハラハラドキドキの
展開になるという筋──。

さて、この中のミスの指摘は、
傲慢ママが子どものわがままを聞き
一人残して行った部分でした。

だって、この場面になるまで、
ママのキャラをさんざん「傲慢」として
描いてきたんだから。

ここで急に、
素直ママになるのはあり得ないと。

ストーリーを面白くすることだけに
引っ張られて、他が見えなくなり、
作者の都合のいいように、
自分で決めた設定をねじ曲げちゃってる。
それじゃあ、読者はついていけない、と。

で、この『ロボット・イン・ザ・ガーデン』。

これがもし、小説講座みたいなところの
受講生の作品だったら、
いろんな指摘をされちゃうんだろうな。




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