前にも書いた覚えがあるけど、
気にせずネタを使い回しします。
と、前置きして……
えーと、たしか永六輔さんが
ラジオか何かで言っていたこと。
過去に経験した悲惨な境遇を語り継ぐため、
あちこちに講演して回っている人の話です。
その人は、元来、口下手だったから、
講演を依頼された一番最初のときは
出来ないと言って断ったんだそうです。
でも、若い世代に伝えるべきだと説得され、
やっと重い腰を上げ、
大勢の前で話す決心をつけた。
(ごめんなさい。
肝心の話の内容は、「戦争体験」だったのか
自然災害の「被災体験」だったのか、
もしくは全然別物か、
そこら辺は忘れちゃったんです)
んでやっとこさ登壇すると、
もともと弁は立たない上に、緊張も加わって、
あっちつっかえ、こっちつっかえの、
しどろもどろの超訥弁になっちゃった。
が、しかし、ところが。
聞いていた人はみんな感動して
スタンディングオベーション100%的な
反響が返ってくる。
その人は、それを期に
何度も講演をこなすようになり、
場数を踏んで度胸もつき、
話も流暢にできるようになっていき、
著名人の永六輔さんとも
話しをする機会ができた。
そこで、その人が永六輔さんに言ったのが、
「何十何百と講演をした中で、
一番共感を得られ、理解されたと思えるのは、
最初の1回目でした。
話がうまくなるに従って、
聴く人の気持ちはどんどん離れていくように
感じるんです」
慣れてない素人状態のほうが、
人を感動させられる……。
なんとなく、わかる気がします。
で、この『アルテミス(下)』。
前作がデビュー作で、これが2作目とのこと。
……面白かったです。
面白かったけど、
「うまくなるに従い、受ける側はダレていく法則」を
思い出してしまいました。
**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら。
**********************